ご挨拶


 私たちは2011年4月から1年2ヶ月をかけて重要無形民俗文化財指定「上総掘り」による井戸の掘削に挑戦し、実に64mを掘り抜き、市原市で最も清らかな水の湧出に成功しました。それまで見ず知らずの「他人」が目に見えない赤い糸に手繰られるように集まり、利害得失を超えて一致団結し目標を成し遂げたこの「ご縁」をさらに発展させ、2013年6月、まちづくりを目標に当団体を立ち上げました。

 

村田川上流の市原東部地区は、古来、上総と下総を分けた村田川の水源地域として緑豊かにして清冽な湧水を誇りました。特に東国吉や奈良地区は縄文の昔から人々が生活し、その後も平安時代には平将門妃桔梗御前が館に住むなど歴史的由緒のある地です。

 

元禄17年に建立された馬乗り馬頭観音は、この地方では最も古い石仏として名高く、今も信仰の対象として村人たちの生活に溶け込んでいます。

 

また、春夏秋冬を彩る植物や昆虫もこの地域の貴重な財産といえます。とくに村田川支流をたどると、のどかな日本の原風景が残っていることに驚かされます。野草事典や昆虫事典を片手に散策するとき、東いちはらの美しさにあらためて感動いたします。

 

一方、あふれる緑とゆたかな住環境を誇るちはら台地区は、桜並木を中心に小学校・中学校あるいは公園などがバランスよく配置され、教育を重視する市原市の中核として新たな発展を遂げようとしております。 

 

このように市原市東部の村田川流域地域はそれぞれにすばらしい特性に恵まれています。今後の課題は、この地域に済んでいる方々が、いかに自分たちの故郷を誇りに思い、愛し、大切にするかということでありましょう。

 

近年「里山」が注目されていますが、「里山」は近代的な居住空間を含む「お里」と「お山」との相互補完的な関係の中に維持されるものであり、決して「里山」=「田舎」ではありません。

 

東いちはらエコミュージアムは、市原市東部を中心に、そこにお住まいの方々が互いの立地特性や考え方の違いを尊重しつつ交流を深めることで、新しいまちづくり事業推進のお手伝いをさせていただくことを目標に活動いたします。今後ともどうぞよろしくお願い申しあげます。

           特定非営利活動法人

              東いちはらエコミュージアム